調査書は、大学に出願するときに高校が作る書類です。推薦・総合型の出願を控えた高校 3 年生には「評定平均がどう出るのか」、一般選抜で出す既卒生には「卒業した高校に頼めるのか」が気になるところです。文部科学省の「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」(2026 年 5 月 27 日付通知)にある調査書の様式と記入上の注意、学校教育法施行規則、実際の高校の案内で確かめました。

調査書に書かれる 9 つの項目

調査書は、高校の指導要録に基づいて、別紙様式 1 で作ります(実施要項 第 5 の 1)。様式の項目は次のとおりです。

番号項目書かれること(様式と記入上の注意の言葉)
1氏名・性別・現住所・学校名など在籍した高校、入学・卒業(卒業見込)の年月
2各教科・科目等の学習の記録科目ごとの評定(5〜1 の 5 段階)と修得単位数
3各教科の学習成績の状況・全体の学習成績の状況教科ごと・全体の評定の平均
4学習成績概評・成績段階別人数A〜E の 5 段階と、各段階の人数
5総合的な探究の時間の記録学習活動、評価の観点、顕著な事項
6特別活動の記録ホームルーム活動・生徒会活動・学校行事で、十分に満足できる状況と判断されたものに○
7指導上参考となる諸事項要点を箇条書きし、必要最小限にとどめる。留学や休学もここ
8備考特別な教育課程や単位制の高校であることなど
9出欠の記録欠席日数・出席日数など

記入上の注意には、調査書は「個人的主観にとらわれたり、特別の作為を加えたりすることのないように作成すること」、ホームルーム担当の教員が原案を作り、調査書作成の委員会の審議を経て校長が作ると書かれています。1 人の先生の印象ではなく、学校として作る書類です。

実施要項は、大学が調査書の「各教科の学習成績の状況」だけでなく他の記載事項も有効に活用することを求めています(第 5 の 2)。評定平均以外の欄も読まれる、ということです。

調査書の項目の地図と、評定平均の計算の例、学習成績概評の区分を 1 枚にまとめた図

図: 調査書の項目と評定平均の出し方(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」別紙様式 1・調査書記入上の注意事項等)

評定平均の出し方と学習成績概評

記入上の注意の 8 に、算出のしかたが書かれています。

  • 各教科の学習成績の状況: 各教科ごとに、各科目の評定の合計数を、その教科の評定数で割ります。小数点以下第 2 位を四捨五入します。
  • 全体の学習成績の状況: すべての教科・科目の評定の合計数を、すべての評定数で割ります。小数点以下第 2 位を四捨五入します。

教科ごとの数字を平均するのではなく、全科目の評定をまとめて割る点に注意してください。保健体育のように複数の学年にわたって履修する科目は、学年ごとの評定を 1 科目分として数えます(同じ注意の注)。単位数で重みをつける、という書き方は原文にありません。

編集部で、架空の数字で計算してみます。

教科評定(架空の例)合計 ÷ 評定数教科の状況
国語4・3・3・414 ÷ 43.5
数学4・5・312 ÷ 34.0
理科3・3・511 ÷ 3 = 3.66…3.7
全体上の 10 個すべて37 ÷ 103.7

(編集部の例。実施要項の計算例にならって作成。理科の 3・3・5 は要項の例と同じ並び)

「学習成績概評」は、この全体の学習成績の状況を次の区分で A〜E に分けたものです(記入上の注意の 9)。

全体の学習成績の状況学習成績概評
5.0〜4.3A
4.2〜3.5B
3.4〜2.7C
2.6〜1.9D
1.8 以下E

上の例の 3.7 は B です。「成績段階別人数」の欄には、同じ学年の生徒が各段階に何人いるかが「A○○人、B○○人…」と書かれます。

推薦の出願資格で「評定平均 3.5 以上」のような条件が付くのは、実施要項が、大学が重要と判断する教科・科目を指定して一定水準以上の評定を出願要件にできると定めているためです(第 5 の 2 の(2))。具体的な条件の例は「指定校推薦で落ちる? 面接・欠席日数・書類の条件と合格取り消し」にあります。指定校推薦のしくみは「指定校推薦とは」、2027 年度の総合型・推薦の日程は「推薦・総合型 2027」を見てください。

いつの成績までが入るのか

評定の欄は「高等学校在学中の全学年」について書きます(記入上の注意の 7)。1 年生の成績も入ります。卒業見込みの人は、次のように扱われます。

  • 最終学年の成績が決まっていないときは、その学年の直近の成績を総合して、高校として判定した成績を最終学年の成績として書く(7 の(4))
  • 修得単位数は、最終学年の修得単位が未決定なら、履修している単位を修得したものとして計算する(7 の(2))
  • 出欠の記録の最終学年は、直近の学期末(または成績を判定した時点)までの状況を書き、その旨を備考に書く(14)

出欠の記録について、令和 9 年度の入学者選抜では「出席停止・忌引き等の日数」と、そこから推測できる授業日数は記載しないとされています。調査書作成のシステムの改修が負担になる高校は、従前の方法で作ってもよいとされています(17 の(2))。

なお、大学と高校が個別に合意した場合は、調査書を電磁的記録で提出することもできます。この場合、校長と記載責任者の押印は不要です(第 5 の 1)。

浪人したら、調査書は誰に頼むのか

卒業した高校に頼みます。実施要項は、過年度卒業者には「従前の様式による調査書の提出を認める」としています(第 5 の 3)。調査書は、在籍していた高校が作る書類です(第 5 の 1)。例を 2 校見ると、手続きは学校ごとに違います。

東京都立杉並総合高校桜丘中学高等学校(私立)
申請経営企画室の窓口、または郵送学校ホームページの申請フォームのみ(来校・電話・メール・FAX・郵送は不可)
手数料1 通 400 円(郵送は定額小為替)1 通 300 円(窓口で支払い)
日数申請日(受理日)から 1 週間(郵送はこれに郵送の日数)申請フォームでは、来校日を入力日の 10 日後以降で選ぶ
その他本人確認書類が必要。代理は委任状が必要受け取りは来校して本人確認。申込から原則 10 日目以降に来校日を設定

(杉並総合高校「証明書の発行について」、桜丘中学高等学校「調査書の発行について(卒業生)」・「卒業生の方へ」の調査書専用申請フォーム(1 枚 300 円、来校日はフォーム入力の 10 日後以降)。桜丘の案内は申込み可能期間を 11 月 1 日〜12 月 10 日としており、年によって変わるため、申請の前に必ず最新の案内を見てください)

卒業後に調査書を請求する流れと、2 校の案内の例、指導要録の保存期間を 1 枚にまとめた図

図: 卒業後に調査書を請求する流れ(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」・杉並総合高校・桜丘中学高等学校の案内・e-Gov 法令検索)

日数の目安は 1〜2 週間です。共通テストの出願や、大学の出願期間に合わせるなら、前の月に頼むくらいの余裕を見てください。杉並総合高校の案内には、年末年始や入学選抜関連の業務で対応できない場合がある、と書かれています。最初に、卒業した高校の「卒業生の証明書」の案内ページか事務室に電話で確かめるのが確実です。

保存期間を過ぎていたら

指導要録のうち、入学・卒業などの学籍に関する記録の保存期間は 20 年、それ以外は 5 年です(学校教育法施行規則 第 28 条)。実施要項は、指導要録の保存期間(学籍に関する記録は卒業後 20 年、指導に関する記録は卒業後 5 年)が過ぎたものは、原則として調査書にその記載を要しないとしています(第 5 の 3)。

保存期間を過ぎたり、廃校・被災などで調査書が得られなかったりするときは、大学が卒業証明書や成績通信簿など代わりの書類を出させることとされています。そのことを募集要項に書いて知らせるのが望ましい、とも書かれています(第 5 の 4)。杉並総合高校の案内では、平成 8 年度以降の卒業生の調査書は卒業後 5 年で、発行できないときは「発行できない旨の連絡文」が無料で渡されます。桜丘中学高等学校の案内でも、卒業後 5 年を過ぎた人には、調査書の代わりに不発行の証明書が無料で出ます。

よくある迷い

評定平均は自分で計算してよいですか

様式の計算例と同じやり方で、目安の数字は出せます。ただし、調査書に載る数字は、高校が指導要録に基づいて算出し、校長の責任で作ったものです。出願資格の判定に使われるのは、その調査書の数字です。

調査書は何通でも頼めますか

桜丘中学高等学校の案内には「調査書の再発行はできません」と書かれています。学校によって扱いが違うので、出願する大学の数を数えてから、必要な通数を高校に確かめてください。

浪人生の書類は調査書だけですか

出願に必要な書類は大学ごとに違います。この記事は調査書の請求のところだけを扱っています。出願する大学は 大学のページから、募集要項を確かめてください。2027 年度入試の変更点は「2027 年度入試の変更点」にまとめています。