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図 1 地学の広がり地学の広がり 2

地層と地球の歴史

地層の重なりと化石から、その場所の昔の環境と時代を読み解く分野です。46 億年の地球の歴史と、日本列島がどうやってできたのかを、野外の観察や地質図で確かめます。

川沿いのしま模様の崖を観察する学生、化石を虫めがねで見比べる学生、奥に雪をかぶった高い山がそびえる風景

ひとことで言うと

積み重ねた日記帳

毎日書いた日記帳を上に重ねていくと、下ほど古い日付になります。地層も、ふつうは下の層ほど古い時代のものです。挟まった化石や火山灰が、その日の天気や出来事を書いたメモのように、昔の様子を教えてくれます。

01

地層と化石: サンゴの化石が出たら、そこは暖かく浅い海だった

地層は、川や海の底に砂や泥、火山灰などが積もってできます。地層が曲がったりひっくり返ったりしていなければ、下の層ほど古く、上の層ほど新しくなります。地学基礎では、地層と化石を観察して、その地層の時代と、できたときの環境を推定します。

化石には 2 つの使い方があります。1 つは、地層の時代を知る手がかりになる示準化石です。短い期間に広い範囲で栄えた生き物が向いていて、古生代の三葉虫、中生代のアンモナイト、新生代のビカリアなどがあります。

もう 1 つは、地層ができたときの環境を知る手がかりになる示相化石です。限られた環境にしかすめない生き物が向いています。たとえば造礁サンゴの化石が出れば、そこは暖かく浅い海だったと分かります。シジミは、海水と淡水が混じる河口付近の目印になります。

離れた場所の地層を比べるときは、火山灰の層が役立ちます。噴火の灰は短い期間に広い範囲へ降り積もるので、同じ時期にできた層の目印(鍵層)になるのです。

化石は、地層の「いつ」と「どんな場所で」を教えてくれる手がかりです。

図解化石の 2 つの使い方

示準化石

  • いつの地層かを示す
  • 短い期間に広く栄えた生き物
  • 例: 三葉虫・アンモナイト

示相化石

  • どんな環境だったかを示す
  • 限られた環境にすむ生き物
  • 例: 造礁サンゴ・シジミ

02

チバニアン: 地球の N 極と S 極が入れ替わった跡

方位磁針の N 極が北を指すのは、地球全体が大きな磁石のようになっているからです。ところが、この地磁気の向きは、地球の歴史の中で何度も逆転してきました。岩石や地層には、できたときの地磁気の向きが記録されています。地学では、この古地磁気も学びます。

千葉県市原市の養老川沿いには、海の底で積もった地層が陸に上がり、高さ約 10 m の崖として現れています。この「千葉セクション」には、地磁気の向きが今と逆だった時期、不安定だった時期、今と同じ向きになった時期の地層が重なっています。過去 360 万年で 11 回あった逆転のうち、約 77 万年前の最後の逆転の跡です。

2020 年 1 月 17 日、韓国の釜山で開かれた国際地質科学連合の理事会で、この地層が地質時代の境目の基準として承認されました。約 77 万 4 千年前から約 12 万 9 千年前までが「チバニアン」と名付けられました。日本にちなんだ地質時代の名前は、これが初めてです。

地層には、その時代の地磁気の向きまで記録されています。

図解千葉セクションを下から上へ読む

  1. 1逆の時代方位磁針の N 極が南を指す
  2. 2不安定な時代地磁気の向きが定まらない
  3. 3今と同じ向き約 77 万年前の逆転のあと
灰色の地層の崖の表面に取り付けられた白い板と、丸い金色の印。板には地質時代の名前が英語で書かれている
千葉セクションの崖に取り付けられた「ゴールデンスパイク」。国際的に認められた、地質時代の境目を示す目印です。写真: MaedaAkihiko(CC0・Wikimedia Commons)

03

46 億年を 1 年にすると: チバニアンは大みそかの午後 10 時半

地質時代は、栄えた生き物の移り変わりをもとに、古生代、中生代、新生代などに区切られています。ただ、億年や万年という単位は、なかなか実感がわきません。そこで、地球が生まれてから今までの約 46 億年を、1 年のカレンダーに縮めてみます。

国際層序委員会の年代表の値で計算すると、カンブリア紀が始まる約 5 億 3,880 万年前は、11 月 19 日の早朝です。恐竜やアンモナイトが栄えた中生代が終わる約 6,600 万年前は、12 月 26 日の夕方になります。チバニアンが始まるのは、大みそかの午後 10 時半ごろです。

生き物は、大気も変えてきました。光合成をするシアノバクテリアが現れると、酸素が増えていきました。産業技術総合研究所の地質標本館によると、海の中では鉄が酸素と結び付いて海底に厚く沈み、縞状鉄鉱層ができました。今の文明を支える鉄の大部分は、この地層から掘り出されています。

長い時間を 1 年に置きかえると、地球の歴史の順番と間隔がつかみやすくなります。

図解46 億年を 1 年のカレンダーにすると

  1. 1/1地球が生まれる約 46 億年前
  2. 11/19カンブリア紀が始まる約 5 億 3,880 万年前・早朝
  3. 12/26中生代が終わる約 6,600 万年前・夕方
  4. 12/31チバニアンが始まる約 77 万 4 千年前・午後 10 時半ごろ

04

海の底でできた岩が山の上に: エベレストと日本列島

世界でいちばん高いエベレスト山の頂上は、どんな岩でできているのでしょうか。神奈川県立生命の星・地球博物館によると、頂上はウミユリの化石のかけらを含む、約 4 億 8,000 万年前の白い石灰岩です。インドとユーラシアの間にあったテチス海でたまった地層が、2 つの大陸の衝突で 8,000 m もの高さまで持ち上げられたのです。

日本列島にも、海の底でできた岩がたくさんあります。海のプレートが海溝で沈み込むとき、プレートの上にたまっていた堆積物などがはぎ取られ、陸の側に付け加わります。こうしてできた地質のかたまりを付加体といいます。

地学では、地質図の読み方も学びます。地質図は、地面の下の岩石や地層の種類と時代を色分けした地図です。日本の地質図を見ると、時代の違う岩石が帯のように並んでいて、日本列島が少しずつ付け加わって成長してきたことが読み取れます。

高い山の岩も、たどっていくと海の底で生まれたものがあります。

図解付加体ができるまで

  1. 1海の底にたまる遠い海で、泥や生き物の殻が積もる
  2. 2プレートで運ばれる年に数 cm ずつ海溝へ近づく
  3. 3はぎ取られる海溝で陸の側に押しつけられる
  4. 4陸の一部になる持ち上げられて山や丘になる
濃い青空の下にそびえる、雪と岩でまだらになった三角形の山の頂上付近
世界でいちばん高いエベレスト山。頂上付近の岩は、約 4 億 8,000 万年前の海でできた石灰岩です。写真: Dexter Perkins(CC0・Wikimedia Commons)

05

大学では: 地質学・古生物学で、野外を歩いて地図をつくる

大学の地球科学科や地質学科などでは、野外を歩いて地層を観察し、自分で地質図をつくる実習があります。地層の傾きを測ったり、化石を取り出して種類を調べたりします。岩石に含まれる放射性の元素を使って、何年前にできたかを測る方法(放射年代)も学びます。授業の名前や進め方は大学によって異なります。

卒業後は、ダムやトンネルをつくる前の地質調査、博物館の学芸員、資源の探査、研究所での研究などにつながります。地質時代の名前を全部覚えていなくても大丈夫です。まずは、身近な崖や建物の石の模様をじっくり見るところから始めてください。

クイズ地層と地球の歴史のクイズ

本文を思い出しながら答えてください。

  1. Q1造礁サンゴの化石が見つかった地層。できたときの環境は?

  2. Q2千葉県市原市の「千葉セクション」に記録されている出来事は?

  3. Q346 億年を 1 年にたとえると、中生代が終わる約 6,600 万年前は何月何日?

0 / 3 問に回答

高校生のうちに試せること

  • チバニアンの地層を見に行く

    千葉県市原市のチバニアンビジターセンターでは、地磁気の逆転と地層の関係を、展示と映像で紹介しています(見学は無料)。雨のあとの増水で地層を見学できない日もあるので、出かける前に確かめましょう。

    千葉県公式観光サイト「チバニアンビジターセンター」
  • 地質標本館で、縞状鉄鉱層とストロマトライトを見る

    茨城県つくば市の産業技術総合研究所 地質標本館は、入館無料です。縞状鉄鉱層の岩石やストロマトライトなど、地球の歴史を物語る標本が展示されています。開館日は公式サイトで確かめてから出かけましょう。

    産業技術総合研究所 地質標本館
  • ペットボトルの中で、地層をつくる

    ペットボトルに小石・砂・泥と水を入れてよく振り、静かに置いておきましょう。重い小石から順に沈み、上ほど細かい粒の層ができます。もう一度振って、砂を足してから置くと、層が重なっていく様子も確かめられます。

「地層と地球の歴史」に関連するコミュニティ

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よくある質問

化石や岩石は、自分で採ってもよいのですか?

場所によっては、採ってはいけない所があります。国の天然記念物や国立公園の中、私有地などです。学習指導要領の解説も、自然環境を守るため、岩石などの採取は必要最小限にするよう求めています。初めは、博物館などが開く観察会に参加すると安心です。

地質時代の名前は、全部覚えないといけませんか?

最初から全部を覚えなくても大丈夫です。地質時代は、栄えた生き物の移り変わりをもとに区切られています。代表的な化石と結び付けて、古い順に並べられるようになると、名前も自然に身についていきます。