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図 1 地学の広がり地学の広がり 1

地震・火山とプレート

地球の形と中のつくり、プレートの動き、地震と火山のしくみを学ぶ分野です。地震計の記録や火山の観測データを読み、足もとの大地がどう動いているのかを確かめます。

地震計の記録紙の波をたどる学生、色分けした地球の断面の模型をのぞき込む学生、鉄骨のやぐらがそびえる掘削船と、噴煙を上げる小さな火山島が見える海

ひとことで言うと

卵を割らずに、中身を当てる

生卵とゆで卵は、割らなくても机の上で回すと見分けられます。地球の中も、まだ誰も掘って確かめたことはありません。地震の揺れが地球の中をどう伝わったかを手がかりに、中のつくりを推理します。

01

地球の中: 世界記録のドリルでも、地球の半径の 0.1% ほど

地学基礎は、「惑星としての地球」から始まります。地球は厳密には球ではなく、赤道の方向に少しふくらんだ形をしています。中心までは約 6,400 km あり、外側から地殻、マントル、外核、内核に分かれています。

人はどこまで掘れたのでしょうか。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」は、2024 年に日本海溝で掘削を行いました。そのとき、ドリルパイプの長さの合計が 7,906 m に達しました。「最も深い海洋科学掘削」として、2025 年にギネス世界記録に認定されています。それでも、地球の半径の 0.1% ほどです。

そこで、中のつくりは地震の波で調べます。地震の波には、先に届く P 波と、あとから届く S 波があります。P 波は固体も液体も伝わりますが、S 波は液体を伝わりません。大きな地震のとき、震源から見て地球の反対側の広い範囲に S 波が届かないことから、外核が液体だと分かりました。

地学では、地震波トモグラフィーにも触れます。たくさんの地震計の記録から、地下の波の速さの違いを立体の図にする方法です。JAMSTEC は、CT スキャンのように地球の中を輪切りにして調べる方法だと説明しています。

地球の中のつくりは、地震の波の伝わり方から推理して分かってきました。

図解地球の中のつくり

  1. 地殻厚さ数〜数十 km。かたい岩石
  2. マントル深さ約 2,900 km まで。流れる性質をもつ岩石
  3. 外核おもに液体の鉄
  4. 内核中心まで。おもに固体の鉄
港の岸壁に停泊する白い大きな船。船の中央に、鉄骨を組んだ高いやぐらがそびえ、甲板には黄色いクレーンが並んでいる
海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」。中央のやぐらから海の底へドリルパイプを下ろし、海底の下を掘り進めます。写真: Gleam(CC BY-SA 3.0・Wikimedia Commons)

02

プレート: ハワイは毎年約 6 cm ずつ日本に近づいている

地球の表面は、何枚ものプレートに分かれています。プレートどうしの境目には、離れる境界、近づく境界、すれ違う境界の 3 通りがあります。日本の近くでは、海のプレートの太平洋プレートとフィリピン海プレートが、陸のプレートの下に沈み込んでいます。

プレートが動く証拠の 1 つが、ハワイの島々です。ハワイの下には、マントルの深い所から熱い物質が上がってくる「ホットスポット」があります。アメリカ地質調査所(USGS)によると、ハワイ島の地表の岩石は 70 万年前より新しく、北西にあるカウアイ島の古い岩石は約 550 万年前のものです。島はホットスポットの上で生まれ、プレートに乗って北西へ運ばれてきたのです。

プレートの動きは、宇宙を使って測られています。国土地理院は、数十億光年離れた天体からの電波を大きなアンテナで受け、アンテナどうしの距離を測る VLBI という技術を使っています。この観測で、茨城県つくば市とハワイのカウアイ島の距離が、1 年に約 6 cm ずつ縮んでいることが分かりました。

プレートの動きは年に数 cm でも、長い時間をかけて島や山脈をつくります。

図解プレートの境界は 3 種類

離れる境界

  • 海嶺で新しいプレートができる
  • 海の底に長い山脈が続く

近づく境界

  • 海溝で一方が沈み込む(日本海溝)
  • 大陸どうしなら大山脈(ヒマラヤ山脈)

すれ違う境界

  • 横にずれ動く
  • 例: サン・アンドレアス断層
黒くつやのある溶岩が、縄をよじったようなしわを作りながら地面に広がり、すき間から緑の草が生えている
ハワイ島のキラウエア火山の溶岩。ホットスポットの上にあるハワイ島では、今も新しい岩石がつくられています。写真: Quinn Dombrowski(CC BY-SA 2.0・Wikimedia Commons)

03

震源を探す: 3 か所の地震計の記録から、円を描いて見つける

地震計の記録を見ると、最初に小さな揺れ(初期微動)があり、少し遅れて大きな揺れ(主要動)が始まります。初期微動は速い P 波、主要動は遅い S 波が届いたものです。2 つが届くまでの時間の差を、初期微動継続時間といいます。

震源から遠いほど、P 波と S 波の到着の差は広がります。そのため、震源までの距離は「初期微動継続時間 × k」で求められます。これを大森公式といい、k は地下の P 波と S 波の速さで決まる値です。

距離が分かった地点が 3 か所あれば、それぞれの地点を中心に、距離を半径とする円を地図に描きます。3 つの円の重なり方から、震源の真上の地点(震央)をしぼり込めます。地学では、地震計の記録から走時曲線(震源からの距離と、波が届くまでの時間のグラフ)をつくり、地殻とマントルの境目の深さを推定する練習もします。

揺れが届いた時刻の差を読むと、震源の場所を計算で求められます。

図解地震計の記録から震源を探す(例)

入力3 か所の初期微動継続時間が、A 5 秒・B 10 秒・C 15 秒
  1. 1k を 8 とすると、震源までの距離は A 40 km・B 80 km・C 120 km
  2. 2地図に、A・B・C を中心とする 3 つの円を描く
  3. 33 つの円が重なり合う所を探す
結果円の重なりから、震源の真上の地点(震央)が分かる

04

火山とマグマ: 海から新しい島が生まれ、12 倍に広がった

日本の火山は、海溝から少し離れた所に、海溝と平行に並んでいます。沈み込むプレートから出た水によって、地下のマントルの岩石の一部がとけ、マグマができるためです。マグマは上がる途中で成分が変わり、玄武岩から流紋岩まで、さまざまな岩石のもとになります。

海上保安庁によると、2013 年 11 月、小笠原諸島の西之島が約 40 年ぶりに噴火し、南東の海に大きさ 100 m ほどの新しい島が現れました。噴火は約 2 年続き、流れ出た溶岩が元の島を飲み込んで海を埋め、島は噴火前の約 12 倍の面積になりました。

噴火が落ち着いたあと、海上保安庁は島に上陸して測量し、2017 年に新しい海図を刊行しました。これにより、日本の領海と排他的経済水域も広がりました。西之島は 2017 年にも再び噴火し、島はさらに大きくなっています。

火山の並び方とマグマの性質は、プレートの沈み込みと結び付いています。

図解マグマの粘りけと火山の形

粘りけが小さい

  • 溶岩が遠くまで流れる
  • なだらかな山になる
  • 例: ハワイの火山

中くらい

  • 溶岩と火山灰が交互に積もる
  • 円すい形の山になる
  • 例: 富士山

粘りけが大きい

  • 溶岩が盛り上がる
  • ドームの形の山になる
  • 例: 昭和新山(北海道)
人工衛星から見た、暗い青の海に浮かぶ茶色の小さな島。島の端から白い噴煙が上がり、左下に距離の目盛りがある
2014 年 7 月に人工衛星から見た西之島。2013 年の噴火で生まれた島が元の島とつながり、流れ出る溶岩で広がっていきました。写真: NASA Earth Observatory(Public domain・Wikimedia Commons)

05

大学では: 地震学・火山学・岩石学へ

大学の地球惑星科学科や地球科学科などでは、地震学、火山学、測地学、岩石学などを学びます。地震計や人工衛星のデータを解析するため、プログラミングを使う授業も多くあります。野外で岩石を観察したり、偏光顕微鏡で鉱物を調べたりする実習もあります。科目の名前や内容は大学によって異なります。

卒業後は、気象庁で地震や火山を見守る仕事、研究所での研究、地質調査や建設の仕事などにつながります。物理や数学が苦手でも心配はいりません。まずは地震計の記録を読んで、地図に円を描くところから始めてみてください。

クイズ地震・火山とプレートのクイズ

本文を思い出しながら答えてください。

  1. Q1地震の波のうち、液体の中を伝わらないのはどれ?

  2. Q2国土地理院の観測で、つくばとハワイの距離は 1 年にどれくらい縮んでいる?

  3. Q32013 年に噴火を始めた西之島。噴火のあと、島の面積は噴火前の約何倍になった?

0 / 3 問に回答

高校生のうちに試せること

  • 強震モニタで、揺れが広がる様子を見る

    防災科学技術研究所の「強震モニタ」では、全国の地震計がとらえた今の揺れの強さを、地図の上の色で見られます。地震が起きたときに開いていると、揺れが震源のあたりから周りへ広がっていく様子が分かります。

    防災科学技術研究所「強震モニタ」
  • 世界の地震の分布を地図で見る

    アメリカ地質調査所(USGS)の地図では、世界で最近起きた地震を見られます。表示を過去 30 日に広げると、地震が帯のように並ぶ場所が見えてきます。プレートの境目と見比べてみましょう。

    USGS「Latest Earthquakes」(英語)
  • 日本の震源の深さを、色で見分ける

    防災科学技術研究所の「Hi-net 自動処理震源マップ」では、最近日本で起きた地震の震源を地図で見られます。震源の深さの色に注目して東北地方を見ると、太平洋側から日本海側へ向かって震源が深くなり、沈み込むプレートの形が浮かび上がります。

    防災科学技術研究所「Hi-net 自動処理震源マップ」

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よくある質問

物理が苦手でも、地震や火山を学べますか?

学べます。地学基礎では、地震計の記録や火山の分布の資料を読むことから始めます。大学で地震学や火山学を深めるときは物理と数学を使いますが、物理基礎で学ぶ波の考え方が入口になります。まずは記録を読んで、気づいたことを言葉にする練習から始めてください。

プレートの動きは、目に見えるのですか?

1 年に数 cm なので、目で見て気づくことはできません。国土地理院は、宇宙から届く電波や人工衛星を使った観測で、日本の位置と動きを測り続けています。つくばとハワイの距離は、10 年で約 60 cm 縮む計算になります。