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図 1 英語の広がり英語の広がり 4

言葉のしくみ

語彙・文法・発音とイントネーションなど、英語の決まりを学ぶ領域です。日本語と比べてみると、英語のリズムや単語の成り立ちに「なぜ」が見えてきます。

手拍子で英語のリズムをとる高校生、単語カードを部品に分けて並べ替える高校生、古い辞書を開いて単語の成り立ちを調べる高校生

ひとことで言うと

ルールを知ると、試合がもっと面白い

サッカーのオフサイドを知らないと、試合の流れはよく分かりません。英語の決まりも同じです。強く読む語や単語の部品の意味が分かると、聞こえ方や読み方が変わり、初めて見る単語の意味まで推測できるようになります。

01

英語のリズム: Tom likes dogs. と Tom will like the dog. はほぼ同じ長さ

学習指導要領の解説は、日本語は音節でリズムをとり、英語は強勢でリズムをとる言語だと言われている、と説明しています。英語では、強く読む音節は強く長く、ほかの部分は弱く素早く発音されます。

解説の例では、日本語の「トムは犬が好きです」より「トムはその犬が気に入るでしょう」のほうが、言うのに時間がかかります。ところが英語の Tom likes dogs. と Tom will like the dog. は、強く読む音節がどちらも 3 つです。そのため、発音にかかる時間がほぼ同じになります。

強く読まれやすいのは、名詞・動詞・形容詞など、意味を運ぶ語です。冠詞や助動詞、前置詞は、弱く素早く発音されることが多くなります。カタカナ語と比べるのも面白い方法です。野球の「ストライク」は、日本語ではス・ト・ラ・イ・クと 5 つの音で言いますが、英語の strike は 1 音節で、ひと息に発音します。

英語は、強く読む音節を軸にしてリズムを刻む言葉です。

図解日本語と英語のリズム

日本語

  • 音をほぼ同じ長さで刻む
  • 「ストライク」は 5 つの音
  • 音が増えると時間も延びる

英語

  • 強い音節がほぼ等間隔に来る
  • strike は 1 音節
  • 弱い語は短く素早く読む

02

強さと上げ下げで、意味が変わる

どの語を強く読むかで、伝わる意味が変わります。中学校の学習指導要領の解説には、I played soccer with Ken. の例があります。「誰とサッカーをしたの?」への答えなら Ken を、「ケンと何をしたの?」への答えなら soccer を強く読みます。

同じつづりでも、強く読む位置で品詞が変わる語もあります。record は、前を強く読むと名詞の「記録」、後ろを強く読むと動詞の「記録する」です。

声の上げ下げ(イントネーション)も意味を変えます。Excuse me. と下げて言うと、「すみません」というおわびになります。Excuse me? と上げて言うと、「もう一度言ってくれますか」という聞き返しです。文字では同じでも、声の出し方で別の文になるのです。

強く読む語と声の上げ下げは、話し手が伝えたいことを示す目印です。

図解どこを強く読む?(中学の解説の例)

入力友達に「ケンと何をしたの?」と聞かれた
  1. 1答えの中心は「何をしたか」
  2. 2soccer を強く、少し長めに読む
  3. 3I played SOCCER with Ken.
結果「サッカーをしたよ」と、聞かれたことへの答えがはっきり伝わる

03

語の成り立ち: 部品が分かると、初めての単語も読める

英単語の多くは、部品を組み合わせてできています。前につく接頭辞の un- は「〜でない」、re- は「再び」を表します。後ろにつく接尾辞の -able は「〜できる」、-less は「〜がない」です。部品の意味を知ると、初めて見る単語の意味も推測できます。

成り立ちを知ると、身近な単語の見え方も変わります。オックスフォード大学出版局の学習者向け辞書によると、breakfast は動詞の break(破る)と fast(断食する)を合わせた語です。食べない時間を破る、最初の食事という成り立ちです。

goodbye は、16 世紀後半に God be with you!(神があなたと共にありますように)が縮まってできた語です。good morning などの言い方にならって、God が good に変わりました。2 つの語をつなげた語もあります。brunch は breakfast と lunch から、smog は smoke(煙)と fog(霧)から生まれました。

接頭辞や接尾辞と語の成り立ちを知ると、単語を部品から読めるようになります。

図解unbreakable を部品に分ける

入力初めて見た単語 unbreakable
  1. 1un- = 〜でない
  2. 2break = 壊す
  3. 3-able = 〜できる
結果「壊すことができない」から、割れない・壊れないという意味
古い英語の辞書を 2 冊開いて並べ、M で始まる単語の項目がびっしり印刷されたページを写したもの
サミュエル・ジョンソンがまとめた英語の辞書(1755 年)と、その縮約版(1756 年)の M の項目のページ。辞書を引くと、意味だけでなく単語の成り立ちが分かることもあります。写真: Jkarjalainen(CC BY-SA 3.0・Wikimedia Commons)

04

日本語との違い: 英語は主語を省けない

日本語では「寒いね」「もう遅いね」のように、主語を言わない文がたくさんあります。英語の文には、ふつう主語が必要です。そこで、特に何かを指すわけではない it を主語に置きます。

ケンブリッジ大学出版局の辞書の文法の解説は、この it を「空の(empty)」主語と呼んでいます。It's going to rain.(雨が降りそう)や It's getting late.(遅くなってきた)の it は、何も指していません。主語の席を空けたままにしないのが、英語の文の決まりです。

数え方にも違いがあります。日本語では「宿題が 3 つある」と言えますが、英語の homework は数えられない名詞です。ケンブリッジの文法の解説は、数えられない名詞の例に homework を挙げています。furniture(家具)や advice(助言)、information(情報)も同じ仲間です。a や数字をつけず、複数形にもしません。家具 1 つなら a piece of furniture と言います。

英語の文には、何も指さない it を置いてでも主語を入れます。

図解主語の有無を比べる

日本語

  • 寒いね
  • もう遅いね
  • 主語がなくても文になる

英語

  • It's cold.
  • It's getting late.
  • 何も指さない it を置く

05

大学では: 英語学で「なぜ」を確かめる

大学の英語学では、音のしくみ、語の成り立ち、文の組み立て、意味などを、実際の英語のデータをもとに調べます。英語の歴史をたどる英語史の授業がある大学もあり、goodbye のような語の移り変わりを何百年もさかのぼって確かめます。

調べるときには、語の歴史を記録した大きな辞書も使います。オックスフォード英語辞典(OED)は、英語圏で使われてきた 50 万を超える語や句について、意味と歴史、使われ方を記録しています。高校で引く学習用の辞書の先に、こうした辞書の世界が広がっています。

クイズ言葉のしくみクイズ

本文を思い出しながら答えてください。

  1. Q1英語の strike(ストライク)は、何音節で発音する?

  2. Q2「ケンと何をしたの?」と聞かれて I played soccer with Ken. と答えるとき、強く読む語は?

  3. Q3breakfast の fast の、もとの意味は?

0 / 3 問に回答

高校生のうちに試せること

  • カタカナ語と英語の音節を比べる

    「ストライク」「クリスマス」など、身の回りのカタカナ語を 5 つ選び、日本語でいくつの音で言うかを数えましょう。次に英語の辞書で発音を聞き、英語では何音節で、どこを強く読むかを比べます。

  • 単語の成り立ちを辞書で調べる

    オックスフォード大学出版局の学習者向け英英辞典のサイトでは、単語によって Word Origin(語源)の欄があります。goodbye や breakfast、教科書に出てきた単語を引いて、成り立ちを確かめましょう。

    Oxford Learner's Dictionaries
  • Excuse me. を 2 通りに言い分ける

    友達と、Excuse me. を下げて言う場合と上げて言う場合を演じ分け、相手がどちらの意味に受け取ったか当て合いましょう。Really. や Sorry. でも試せます。

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よくある質問

発音記号は、読めたほうがよいですか?

読めると便利です。オンラインの英英辞典では、発音記号と一緒に音声も聞けます。最初は記号を全部覚えなくても、音声を聞きながら、強く読む位置を示す印(ˈ)を確かめるだけで十分役に立ちます。

文法用語が苦手です。覚えないといけませんか?

解説は、文法を知識として覚えるだけでなく、実際のコミュニケーションで使えるように学ぶことを求めています。用語の名前より、例文の形と意味をセットで覚えるほうが、話したり書いたりするときに役立ちます。