図 1 英語の広がり英語の広がり 1
聞く・読む
英語の音声や文章から、必要な情報と、相手が伝えたいことをつかむ領域です。駅のアナウンスやメールから、図表のある説明文や講義まで、目的に合わせて聞き方と読み方を変えていきます。

ひとことで言うと
地図アプリを縮めて、広げて使う
初めての街では、地図アプリを縮めて全体の位置をつかみ、目的地の近くで広げて細かい道を確かめます。英語を聞いたり読んだりするときも同じです。まず全体の流れをつかみ、必要なところだけを細かく確かめれば、全部が分からなくても目的を果たせます。

01
何を学ぶ: 全部ではなく「必要な情報」と「相手の意図」
高校の「英語コミュニケーション I」は、日常的な話題について、必要な情報を聞き取り、話し手の意図をつかむことを目標にしています。社会的な話題の文章では、概要や要点を目的に応じてとらえます。1 語残らず分かることは、目標に入っていません。
聞く素材には、2 人の会話のほか、店内放送や駅のアナウンス、電話の録音メッセージも含まれます。読む素材は、電子メール、説明文、理由を挙げて意見を述べる論証文、図表のある文章などです。
学習指導要領の解説は、聞く前・聞いている間・聞いた後に分けて、授業の進め方の例を示しています。聞く前に写真やキーワードで内容を予想し、聞いている間は「誰が、どこで、何をするか」などをメモします。聞いた後は、メモをもとに内容を口で要約します。
聞く・読むの目標は、目的に合った情報と、相手が伝えたいことをつかむことです。
図解聞く前・聞いている間・聞いた後(解説の例)
- 1聞く前写真やキーワードで内容を予想する
- 2聞いている間「誰が・どこで・何を」をメモする
- 3聞いた後メモをもとに口で要約する


02
音がつながる・消える: What time is it now? の聞こえ方
英語を話すときは、1 語ずつ区切らずに、いくつもの語を続けて発音することがよくあります。中学校の学習指導要領の解説は、音のつながりが、聞き取りを難しくする原因の 1 つだと指摘しています。そのうえで、音の変化を 3 つの型に分けて例文を示しています。
1 つ目は、語と語がつながる型です。Take it easy. では、take と it がつながって「テイキット」のように聞こえます。2 つ目は、音が消える型です。What time is it now? では、what の t がほとんど聞こえず、「ワッタイム」のようになります。
3 つ目は、2 つの音が影響し合って、別の音に変わる型です。Would you は「ウッジュー」、Why don't you は「ワイドンチュー」に近い音になります。カタカナの「サンキュー」も、thank と you を続けて言ったときの音に近い書き方です。
型を知っておくと、知っている語が聞き取れなかった理由が分かります。自分でも同じように続けて発音してみると、音のつながり方が体で覚えられます。
音の変化の型を知ると、文字では知っている語も聞き取れるようになります。
図解音の変化の 3 つの型(中学の解説の例)
つながる
- Take it easy.
- There is an apple ...
- 語の終わりと次の語が続く
消える
- What time is it now?
- I don't know.
- t や d がほとんど聞こえない
変わる
- Would you ...?
- Why don't you ...?
- 2 つの音が混ざって別の音に

03
速く読む・じっくり読む: 目的で読み方を変える
英語の文章は、いつも最初から 1 語ずつ訳しながら読むわけではありません。全体の内容をざっとつかむ読み方をスキミング、必要な情報だけを探す読み方をスキャニングと呼びます。細かいところまで正確に読み取る精読と、目的に応じて使い分けます。
説明文や論証文では、事実と意見を読み分けることも大切です。学習指導要領の解説は、事実が書かれた文と意見が書かれた文の例を見比べ、特徴や使われる語句をつかむ活動を勧めています。例えば I think や should は意見の目印になり、数字や年、調査の結果は事実の目印になります。事実か意見かを見分けながら読むと、書き手の主張と、それを支える根拠が分かれて見えてきます。
読む速さの目安を示した研究もあります。2019 年に、190 の研究をまとめた分析が発表されました。大人が英語のノンフィクションを黙読する速さは、平均で 1 分に約 238 語でした。物語では約 260 語です。声に出して読むと約 183 語で、黙読より遅くなります。
読む目的を先に決めると、読み方と読む速さを選べます。
図解3 つの読み方の使い分け
スキミング
- 全体の内容をざっとつかむ
- 例: ニュース記事の大意
- 見出しや図表から大意を見る
スキャニング
- 必要な情報だけを探す
- 例: 時刻表で乗る電車
- 数字や名前を目で追う
精読
- 1 文ずつ正確に読む
- 例: 申込書の条件
- 文の組み立てを確かめる


04
大学では: 講義を聞き、論文は要旨から読む
大学では、英語の講義を聞いたり、英語の論文を読んだりする場面が増えます。講義を聞くときに役立つのが、高校で練習する「聞く前・聞いている間・聞いた後」の流れです。スライドや資料で話題を予想し、要点をメモし、あとで自分の言葉でまとめます。
論文を読むときは、まず要旨(アブストラクト)をざっと読みます。要旨は、研究の目的や方法、結果を短くまとめた部分です。必要な論文だけを選んで精読すれば、限られた時間でたくさんの研究に目を通せます。
全部を読まずに、読むものを選ぶのも、読む力の 1 つです。高校で練習するスキミングとスキャニングは、大学でたくさんの文献を扱うときの土台になります。
高校生のうちに試せること
駅や空港の英語のアナウンスを聞き取る
電車や空港で流れる英語のアナウンスを聞き、次の駅名、乗り換えの路線、ドアが開く側の 3 つだけを聞き取りましょう。全部ではなく、聞き取ることを先に決めて聞く練習になります。
論文の英語の要旨を読む
科学技術振興機構が運営する J-STAGE では、日本の学会誌などの論文の多くを、だれでも無料で読めます。興味のある言葉で検索し、英語の要旨(Abstract)がついた論文を 1 本選んで、目的と結果を 1 行ずつ日本語でメモしましょう。
J-STAGEBBC の 6 Minute English を聞く
イギリスの公共放送 BBC の学習サイトでは、身近な話題を 6 分ほどで扱う中級向けの番組を無料で聞けます。新しい回は週に 1 本のペースで公開されています。1 回目は要点を 1 文でメモし、2 回目で細部を確かめましょう。
BBC Learning English「6 Minute English」1 分間に読める語数を測る
易しい英語の文章を 1 分間黙読し、読めたところまでの語数を数えましょう。読み終えたら、内容を 1 文で言えるかも確かめます。1 か月ごとに測ると、速さの伸びが分かります。
「聞く・読む」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 114 件から探せます。
よくある質問
リスニングで 1 語でも聞き逃すと、焦ってしまいます。
学習指導要領の目標は、必要な情報と話し手の意図をつかむことで、すべての語を聞き取ることではありません。聞く前に、何を聞き取るかを決めておくと、聞き逃した語があっても要点を追えます。
英語を速く読めるようになるには、どうすればよいですか?
辞書をほとんど引かずに読める易しい英文を、たくさん読むことから始めてください。学習指導要領の解説は、長い文を意味のまとまりで区切って読むことも勧めています。区切りごとに前から意味をとると、日本語の語順に並べかえずに読めるようになります。

