図 1 英語の広がり英語の広がり 3
書く
意見文や要約、メールなど、読み手に伝わる英語の文章を書く領域です。英語の段落の組み立て方を知ると、短い文を重ねるだけでも、筋の通った文章が書けるようになります。

ひとことで言うと
引き出し 1 つに、しまう物は 1 種類
片付いた引き出しは、ラベルを見れば中身が分かります。英語の段落も同じです。最初の 1 文が「この段落で何を言うか」を示すラベルになり、中にはその主張を支える文だけを入れます。

01
英語の段落: 1 つの段落に 1 つの主張
日本語の作文でも英語の文章でも、段落は内容のまとまりを表します。一方で、違いもあります。学習指導要領の解説は、英語の段落は多くの場合、書き手が伝えたい 1 つの主張と、それを支える部分でできている点に特徴があるとしています。
高校では、主題文・支持文・結論文の 3 つでできた段落を見本に、組み立て方を学びます。主題文で主張を述べ、支持文で理由や例を挙げ、結論文でもう一度まとめます。主張に関係のない文は、たとえ面白くても別の段落に回します。
主題文は、その段落の中で理由を示しきれる大きさの主張にするのがこつです。「英語は大切だ」より「英語ができると旅行がもっと楽しくなる」のほうが、支持文で理由や例を挙げやすくなります。
英語の段落は、1 つの主張と、それを支える文でできています。
図解段落の組み立て(例)
- 1主題文Walking to school is good.
- 2支持文 1First, it is good exercise.
- 3支持文 2Also, we can talk on the way.
- 4結論文So, let's walk more often.

02
句読点: コンマ 1 つで、日本の言葉を英語で説明できる
今の学習指導要領では、学ぶ決まりの中に「句読法」が新しく加わりました。読み手に分かりやすい英文を書くのに欠かせないからです。解説は、コンマの使い方は使われる国や地域、英文のリズムなどによってさまざまだとも説明しています。
解説には、日本の言葉を英語で説明する例文があります。1 つ目は My brother goes to kaiten-zushi, conveyor-belt sushi restaurants, at least once a week. です。2 つのコンマで挟んだ部分が、kaiten-zushi の言い換えになっています。2 つ目は I think kizuna, which means “bonds between people,” is a very beautiful word. です。which 以下で kizuna の意味を説明しています。コンマを使うと、日本語の言葉を残したまま意味も伝えられます。
形の似たコロン(:)とセミコロン(;)の使い分けも学びます。コロンは、前の文の内容を例で示したり、説明を加えたりするときに使います。セミコロンは、関係の深い 2 つの文をつなぎます。It was getting dark; we had to go home. がその例です。
句読点は、読み手に文の区切りと、語と語の関係を知らせる記号です。
図解コンマ・コロン・セミコロン(解説の例から)
コンマ(,)
- 言い換えや説明を挟む
- kaiten-zushi, conveyor-belt…
- 語を並べるときにも使う
コロン(:)
- 前の内容の例や説明を示す
- …my hometown: the scenery…
- 後ろに語句も文も置ける
セミコロン(;)
- 関係の深い 2 つの文をつなぐ
- It was getting dark; we…
- however などとも使う

03
短く、はっきり: アメリカには「わかりやすく書く法律」がある
英語の世界では、わかりやすく書くことが大切にされてきました。イギリスの作家ジョージ・オーウェルは、1946 年の評論「政治と英語」で、文章を書くときの 6 つの規則を示しました。「短い語で足りるなら長い語を使わない」「削れる語は必ず削る」「能動の文で書ける所に受け身を使わない」などです。
2010 年 10 月には、アメリカで Plain Writing Act という法律が成立しました。国の機関が市民に出す手紙や書式、案内などを、わかりやすく書くよう求める法律です。法律は、わかりやすい文章を「明確で、簡潔で、よく整理された」文章と定めています。
高校生が英語を書くときも、この考え方が役立ちます。難しい単語を探すより、知っている易しい語で短い文を重ねるほうが伝わります。1 文に 1 つの内容を目安にすると、書くのも読み返すのも楽になります。
短い語と短い文で書くと、英語は読み手に伝わりやすくなります。
図解長い英文を短くする(例)
- 1It is my opinion that を I think に縮める
- 2the use of smartphones by students を、students use smartphones の形にする
- 3should be limited の受け身をやめ、誰が何をするかで書く


04
メールと要約: 大事なことを先に、短く
高校では、手紙や電子メールのやり取りも書く場面に含まれます。学習指導要領の解説は、用件を簡潔に伝えるメモ、季節のあいさつのメッセージ、招待状や礼状、履歴書などを書く場面を例に挙げています。
英語のメールは、件名、宛名、本文、結びのあいさつ、署名の順に書きます。件名と本文の最初の 1 文で、用件が伝わるように書くのがこつです。
要約は、文章の主張と大事な理由だけを残して、短くまとめることです。各段落の主題文を拾ってつなぐと、要約の骨組みができます。例や細かい数字は省き、最後に自分の言葉で言い直すと、元の文章の丸写しになりません。
メールも要約も、大事なことを先に、短く書くのがこつです。
図解ALT の先生に締め切りを確かめるメール(例)
- 1件名: Question about the essay deadline
- 2宛名: Dear Ms. Brown,
- 3本文: Is the deadline this Friday or next Monday?
- 4結びと署名: Thank you. Best regards, Ken

05
大学では: 科学誌も「明確に、簡潔に」
大学では、英語でレポートや論文の要旨を書く場面があります。イギリスの科学誌『Nature』は、投稿する研究者に向けた案内を出しています。そこでは、ほかの分野の読み手や、英語を母語としない読み手にも分かるように、明確に簡潔に書くよう求めています。専門用語はできるだけ避け、使うときは説明を添えるようにとしています。
Nature を出しているグループは、論文の書き方の案内も公開しています。we performed the experiment(私たちは実験を行った)のような能動の文を使うと、読み手が内容を理解しやすくなるという内容です。オーウェルが 1946 年に示した規則と同じ考え方が、今の科学の論文にも生きています。
書くことが苦手でも大丈夫です。「英語コミュニケーション I」は、1 つの段落を書くところから始まります。まずは主張・理由・まとめの 3 文を書くことから練習してください。
高校生のうちに試せること
3 文の英語日記を書く
その日の出来事を 1 つ選び、主張(楽しかった・大変だった)、理由、まとめの 3 文で英語の日記を書きましょう。1 週間続けたら読み返し、同じ語ばかり使っていないかを確かめます。
日本の言葉をコンマで説明する
好きな日本の食べ物や行事を 1 つ選び、kaiten-zushi, conveyor-belt sushi restaurants, のように、コンマで英語の説明を添えた文を書きましょう。友達と交換して、説明だけで何のことか分かるかを確かめます。
オーウェルの 6 つの規則を原文で読む
オーウェル財団のサイトでは、評論「政治と英語」の全文を読めます。最後の部分にある 6 つの規則を原文で読み、自分の英作文に当てはめて、削れる語がないか探しましょう。
The Orwell Foundation「Politics and the English Language」
「書く」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 9 件から探せます。
よくある質問
日本語で考えた文を、英語にうまく訳せません。
日本語の文をそのまま訳そうとすると、難しい語や長い文になりがちです。まず言いたいことを短い日本語に直し、知っている英語で言える形にしてから書くと楽になります。オーウェルの「短い語で足りるなら長い語を使わない」という規則も、同じ考え方です。
英作文で、同じ単語ばかり使ってしまいます。
英英辞典で似た意味の語を調べると、表現が広がります。ただ、難しい語に置きかえるより、文の組み立てを変えて同じ語のくり返しを減らすほうが、自然な英文になることもあります。オーウェルの規則のように、短く分かりやすい語を選ぶことを先に考えてください。
