図 3 仕事での生かし方仕事での生かし方 1
編集・ライター
本や雑誌、Web の記事を企画し、読む人に伝わる言葉に整えて届ける仕事です。高校の国語で練習する「要旨をつかむ」「言葉を選ぶ」が、原稿を読むたびに使われています。

ひとことで言うと
試合の動画を、1 分のハイライトにまとめる
部活の試合を撮った 1 時間の動画から、見どころだけを 1 分にまとめるとします。何を残し、どの順に並べ、どんな題をつけるかを考えるはずです。編集やライターの仕事は、これを言葉で行うものです。

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どんな仕事?: 書く人・整える人・確かめる人
本や記事は、何人もの手を通って読者に届きます。編集者は、何をどんな読者に向けて出すかを決め、書き手と一緒に原稿を磨きます。ライターは、人に会って話を聞き、資料を調べて原稿を書きます。校閲は、事実や言葉の誤りがないかを確かめる仕事です。
働く場所は、出版社だけではありません。Web のニュースサイトや、会社や大学が出す広報誌、学校で使う教科書や参考書にも、編集者とライターがいます。読者が中学生か専門家かで、同じ話でも言葉の選び方が変わります。
高校の「現代の国語」の学習指導要領は、読むことの最初に「要旨や要点を把握すること」を挙げています。読んだ文章を、別の形の文章に書き換える活動も例に出てきます。どちらも、編集者とライターが毎日している作業そのものです。
編集とライターの仕事は、高校の国語の読む・書く・聞くでできています。
図解編集・ライターが使う高校の国語
- 要約する取材のメモから見出しとリードを作る
- 論理的に読む原稿の筋道が飛んでいる所を見つける
- 言葉を選ぶ意味を取り違えやすい言葉を確かめる
- 書く読者に合わせて言い方を書き分ける
- 話す・聞くインタビューで話を引き出す
- 文学を味わう本の面白さを紹介文で伝える

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要約する: 長いメモを、まず 1 文にしてから書く
ライターが 1 時間のインタビューをして、録音をすべて文字にすると、とても長いメモになります。そのまま並べても、記事にはなりません。最初にするのは、「この記事で伝えたいこと」を 1 文にまとめることです。
1 文が決まったら、それを支える話を選び、読者が知りたい順に並べ直します。話してくれた順番と、読みやすい順番は同じとは限りません。最後に、その 1 文をさらに縮めて見出しにします。字数を決めて要約する国語の練習は、この作業の土台になります。
要約では、何を書かないかを決めることも大切です。面白い話でも、伝えたいことにつながらなければ外します。外した話は、別の記事の種としてメモに残しておくこともあります。
短くまとめても、話した人の言いたいことが変わってはいけません。言葉を縮めたら、元のメモと読み比べて、意味がずれていないかを確かめます。評論の要旨を書いたあと、本文と照らし合わせる国語の練習と同じです。
先に 1 文の要旨を決めると、長いメモが記事の形に変わります。
図解インタビュー記事をまとめる(例)
- 1この記事で伝えたいことを 1 文にする
- 2その 1 文を支える話を 3 つ選ぶ
- 3読者が知りたい順に段落を並べ直す
- 41 文をさらに縮めて見出しにする

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言葉を選ぶ: 「歴史をひもとく」は、何をすること?
編集者や校閲は、読み手が意味を取り違えそうな言葉にも目を配ります。文化庁は 1995 年度から毎年、「国語に関する世論調査」を行っています。2026 年 10 月に結果が出た令和 7 年度の調査には、16 歳以上の 3,777 人が答えました。
「古代史をひもとく」の「ひもとく」は、辞書などで本来「関係する書物を読む」という意味とされてきました。調査でこの意味を選んだ人は 13.1% で、「真相を明らかにする」を選んだ人が 69.9% でした。「噴飯もの」も、本来の「おかしくてたまらないこと」を選んだ人は 34.1% でした。「腹立たしくて仕方ないこと」を選んだ人は、それより多い 55.1% でした。
どちらの意味で受け取られるか分からない言葉は、誤解のもとになります。そこで編集者は、別の言い方に変えたり、前後の文で意味が分かるように書き足したりします。辞書で言葉の意味を確かめる習慣は、高校の国語の授業でそのまま身につけられます。
読み手によって意味が割れる言葉は、言い換えや書き足しで誤解を防ぎます。

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ライターの 1 日(例)
ここでは、編集プロダクションに勤め、雑誌や Web の記事を書くライターの 1 日の例を紹介します。編集プロダクションは、出版社などから記事や本づくりを請け負う会社です。
取材の前には、相手の本や記事を読み、聞きたいことを質問の形で書き出します。取材のあとは、メモを読み返して要点に印をつけ、組み立てを考えてから書き始めます。
書いた原稿は編集者が読み、赤字(直しの指示)を入れて戻します。指摘を受けて直す作業も、仕事の大事な一部です。働き方は、会社や担当する媒体によって大きく異なります。
読む・まとめる・書く・直すが、1 日の中で何度もくり返されます。
図解ライターの 1 日(例)
- 9:30進み具合の確認締め切りと取材の予定を見直す
- 10:30取材大学の先生にオンラインで話を聞く
- 12:30昼休み
- 13:30メモを読む要点に印をつけ、伝えたいことを 1 文に
- 15:00組み立てを考える段落の順番を付箋で並べ替える
- 16:00原稿を書く見出しとリードから書き始める
- 18:00直しの確認編集者の赤字を見て原稿を直す

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向いている人と入り方・その先
高校のうちは、評論や新聞の記事を読んだら、要旨を 1 文で書いてみてください。分からない言葉を辞書で引く習慣も役立ちます。新聞部や放送部、文芸部で記事や作品を形にする経験は、そのまま仕事の練習になります。
大学の学部は問われません。文学部で日本語学や文章表現を学ぶ人もいれば、経済や理工系の学部で学んだことを生かして、その分野の記事を書く人もいます。出版社や Web メディア、編集プロダクションに入る道のほか、ほかの仕事をしながら書き始める人もいます。
人の話を聞くのが好きな人、細かい言葉の違いに気づける人に向いています。経験を積むと、雑誌やサイト全体をまとめる編集長や、医療・科学・スポーツなど得意な分野を持つライターになる道があります。
要旨をつかむ力に、得意な分野を重ねていくのが近道です。
図解高校から編集・ライターへの道(例)
- 1高校で学ぶ要旨を 1 文で書く・辞書を引く
- 2大学で広げる得意な分野と書く経験を持つ
- 3仕事に入る出版社・Web メディアなど
- 4専門を持つ編集長や分野に強いライターへ

高校生のうちに試せること
家族に 10 分インタビューする
家族や先生に 10 分間話を聞き、200 字の紹介記事にまとめましょう。書き始める前に「伝えたいこと」を 1 文に決めると、話してくれた順番に引きずられずにまとまります。
世論調査の言葉で、家族に聞いてみる
文化庁の「国語に関する世論調査」には、「ひもとく」のように意味が割れる言葉が毎年のっています。家族や友だちにどちらの意味だと思うかを聞き、調査の結果と比べてみましょう。
令和 7 年度「国語に関する世論調査」の結果(文化庁)国立国会図書館サーチで本を調べる
国立国会図書館サーチでは、日本で出版された本の情報を無料で検索できます。好きな作家の名前で探し、どの出版社から何年に出た本かを並べると、その作家と編集者の歩みが見えてきます。
国立国会図書館サーチ
「編集・ライター」に関連するコミュニティ
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よくある質問
国語の成績が特によくなくても、編集やライターになれますか?
なれます。仕事で大切なのは、読者に伝わるかを考えて何度も直す粘り強さです。辞書で言葉を確かめる、要旨を 1 文で書くといった練習は、今日からでも始められます。
ライターになるのに資格は必要ですか?
必要な資格はありません。記事を書いた経験や、医療・スポーツなど得意な分野の知識が強みになります。学校新聞や部誌に書いた記事も、自分の力を示す材料になります。
編集者とライターは、どう違いますか?
編集者は、記事や本の企画を立て、原稿を読んで直し、全体を形にする役です。ライターは、取材して原稿を書く役です。小さな媒体では、一人が両方を受け持つこともあります。



