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図 2 高校 3 年間の流れ()高校 3 年間の流れ 1

高 1: 物理基礎で法則に出会う

高校の物理は、2 単位の「物理基礎」から始まります。中学の理科で学んだ速さや力を、グラフと式で表し直し、記録タイマーや力学台車の実験で確かめる 1 年です。

理科室で斜面に台車を走らせ、記録タイマーの紙テープを伸ばす高校 1 年生たちと、切ったテープを階段のように並べて見せ合う生徒、鈴の並んだ木の斜面を指さす生徒

ひとことで言うと

「ぐんぐん速く」を、数字で言う

スポーツ中継の「ぐんぐん加速しています」は、様子を伝える言い方です。物理基礎では、「1 秒ごとに秒速 2 m ずつ速くなる」のように、変化を数字で言い表します。数字にできると、3 秒後や 5 秒後の速さまで計算で予想できます。

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高 1 の科目: 2 単位の物理基礎で、運動とエネルギーを学ぶ

高校の理科では、物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎のうち 3 科目を学ぶのが基本です。「科学と人間生活」を含めて 2 科目を学ぶ形もあります。物理基礎は標準 2 単位で、1 年で学ぶなら授業は週 2 時間ほどです。どの学年で学ぶかは、学校によって異なります。

内容は大きく 2 つに分かれます。前半の「物体の運動とエネルギー」では、速さと加速度、力と運動の法則、力学的エネルギーを学びます。後半の「様々な物理現象とエネルギーの利用」では、波、熱、電気、発電などのエネルギーの利用を学びます。

最初に学ぶのが「物理量の測定と扱い方」です。測った値のずれ(誤差)や有効数字、表とグラフの作り方を学びます。学習指導要領の解説は、人が歩く運動の時間と位置を測る例や、身の回りの物の密度を求める例を挙げています。物理基礎のすべての単元で使う道具です。

4 単位の「物理」は、原則として物理基礎を学んだ後に学びます。物理基礎は、高 2・高 3 で学ぶ物理の土台になる科目です。

物理基礎は、運動とエネルギーを中心に、波・熱・電気までをひととおり学ぶ科目です。

図解物理基礎で学ぶこと

物理基礎
  • 運動の表し方速度・加速度・グラフ
  • 様々な力摩擦力・弾性力・浮力
  • 運動の法則慣性・運動方程式・作用反作用
  • 力学的エネルギー運動と位置のエネルギーの保存
  • 波定在波・気柱の共鳴・うなり
  • 熱熱運動・比熱・熱と仕事
  • 電気電気抵抗・発電と送電
  • エネルギーの利用発電のしくみ・放射線

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中学の理科から: 「速くなる」を加速度で表す

物理基礎は、中学の理科の続きです。中 1 の「身近な物理現象」では、力の大きさと向き、ばねの伸び、光と音を学びました。中 2 の「電流とその利用」では回路と電流を、中 3 の「運動とエネルギー」では物の運動と力学的エネルギーを学んでいます。

中 3 では、斜面を下る台車がだんだん速くなることを確かめました。物理基礎では、速さの増え方を加速度という量で表します。1 秒ごとに秒速 2 m ずつ速くなるなら、加速度は 2 m/s² です。運動の様子は、位置と時間のグラフや、速度と時間のグラフで表します。

身近な乗り物も教材になります。学習指導要領の解説は、自転車や電車の動きを、人工衛星を使った位置情報や動画をもとにグラフにする例を挙げています。教科書の中の運動が、通学の電車の動きと同じ形のグラフで表せるのです。

力の扱い方も変わります。中 3 では、力の合成と分解を作図で学びました。物理基礎では、向きと大きさをもつ量(ベクトル)として力を計算します。解説は、小さなリングにいくつかのばねばかりをつけ、いろいろな向きに引いてつり合わせる実験を例に挙げています。

中学で言葉と作図で説明した運動を、物理基礎ではグラフと式で表し直します。

図解中学の理科と物理基礎

中学の理科

  • 運動には速さと向きがある
  • 力が働くと速さが変わる
  • 力の合成と分解を作図で考える
  • 力学的エネルギーは保存される

物理基礎

  • 速度と加速度を量で表す
  • v-t グラフの傾きと面積を読む
  • 力をベクトルとして計算する
  • 仕事と結びつけて式で表す

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実験: 記録タイマーのテープで加速度を測る

物理基礎では、多くの単元に実験が組み込まれています。解説は、斜面を下る台車の運動を調べ、速度と時間のグラフから加速度を求める実験を挙げています。運動の記録には、記録タイマーのほか、センサーや動画も使えます。

記録タイマーは、台車につないだ紙テープに、一定の時間ごとに点を打つ装置で、中 3 の理科でも使います。宮城県総合教育センターの資料によると、点の間隔は電源の交流の周波数で決まり、東日本では 1 秒間に 50 回、西日本では 60 回です。東日本なら、5 打点ごとに切ったテープ 1 本が 0.1 秒分になります。

止まっていた台車が斜面を下ると、0.1 秒分のテープは 1、3、5、7 と、奇数の比で長くなっていきます。テープを順に並べて貼ると、階段のような形になります。下の例のように、テープの長さから速さを出し、速さの増え方から加速度を求めます。

この 1:3:5:7 という比は、ガリレオが調べた落下の法則と同じです。フィレンツェのガリレオ博物館には、この法則を音で確かめる 19 世紀初めの斜面の装置があります。振り子が 1 往復するごとに、転がる球が鈴を鳴らすように鈴が並べてあり、鈴の間隔は奇数の比で広がっています。

テープの長さの増え方から、目に見えない加速度を数字で取り出せます。

図解テープの長さから加速度を求める(東日本の例)

入力止まっていた台車のテープを 5 打点(0.1 秒)ごとに切る。長さは 1.0・3.0・5.0・7.0 cm
  1. 1速さ = 長さ ÷ 0.1 秒 で、10・30・50・70 cm/s
  2. 2速さは 0.1 秒ごとに 20 cm/s ずつ増えている
  3. 3加速度 = 20 cm/s ÷ 0.1 s = 200 cm/s²
  4. 4単位を m にそろえると 2.0 m/s²
結果加速度は 2.0 m/s²。1 秒ごとに秒速 2.0 m ずつ速くなる
白い壁の前の床に置かれた、長い木の斜面の装置。斜面の上には小さな金属の鈴がいくつも並んでいる
ガリレオ博物館(イタリア・フィレンツェ)にある 19 世紀初めの斜面の装置。長さは約 5.4 m で、転がる球が同じ時間ごとに鈴を鳴らすように鈴が並んでいます。写真: Museo Galileo(CC BY-SA 4.0・Wikimedia Commons)

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つまずきやすい点: 力の向きと、グラフの読み方

最初につまずきやすいのは、向きのある量です。速度や加速度、力には向きがあり、一直線の上では向きを + と − で表します。上向きを + にすると、真上に投げたボールの速度は +、0、− と変わります。一方、加速度はずっと −9.8 m/s² のままです。

グラフの読み方にも慣れが必要です。速度と時間のグラフでは、傾きが加速度、グラフと横軸の間の面積が進んだ距離を表します。速さが変わる運動では、「速さ × 時間」の掛け算ではなく、面積で距離を求めます。

解説は、生徒が経験からもちやすい誤った考えを 2 つ挙げています。1 つは、動いている物には動く向きに力が働き続けているという考えです。もう 1 つは、重い物ほど相手に大きな力を及ぼすという考えです。どちらも、運動の法則で正しく説明し直せます。

コツは、式を立てる前に、物に働く力を矢印で描くことです。触れている物から受ける力と、重力を描き出します。動く向きの矢印が見当たらなくても、物は慣性で動き続けます。

式の前に力の矢印を描くと、考え違いに気づきやすくなります。

クイズ高 1 の物理クイズ

このページで紹介した内容から出題します。

  1. Q1真上に投げたボールが上がっている途中。ボールに働く力は?(空気の抵抗は考えない)

  2. Q2速度と時間のグラフで、グラフと横軸の間の面積が表すものは?

  3. Q3止まっていた球が斜面を転がり下りる。同じ時間ごとに進む距離は、どんな比で増える?

0 / 3 問に回答

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高 1 の 1 週間: 授業は週 2 回、グラフを描く時間をつくる

物理基礎を 1 年で学ぶなら、授業は週 2 回ほどです。単位数や時間割は学校によって異なります。下の図は、高 1 の 1 週間の例です。

物理基礎では、数学 I の内容もよく使います。二次関数のグラフに慣れておくと、落下する距離のグラフが読みやすくなります。斜面の上の物に働く力を分けるときには、三角比を使います。

実験の後には、レポートを書きます。解説も、話し合い、レポートの作成、発表を大切にしています。目的・方法・結果・考察の順に書き、結果は表とグラフにまとめます。予想と結果が違ったところこそ、考察の材料になります。

予想と結果のずれを書き留めておくと、次の単元の理解につながります。

図解高 1 の 1 週間(例)

  1. 月物理基礎(運動)v-t グラフの傾きと面積を読む
  2. 火数学 I(二次関数)放物線のグラフを描き慣れる
  3. 水5 分の復習授業の図に力の矢印を描き直す
  4. 木物理基礎(実験)記録タイマーのテープを切って貼る
  5. 金レポート結果をグラフにして考察を書く
  6. 土・日身近な運動を見るスロー動画で物の落下を撮る

高校生のうちに試せること

  • スロー動画で落下を調べる

    スマートフォンのスロー動画で、ボールを落とす様子を撮りましょう。横にメジャーを立てておき、コマ送りで一定の時間ごとの位置を読み取ります。同じ時間に進む距離が、1:3:5:7 に近い比で増えるかを確かめてください。

  • 広げた紙と丸めた紙を落とす

    同じ大きさの紙を 2 枚用意し、1 枚は広げたまま、もう 1 枚は丸めて、同じ高さから同時に落としましょう。落ち方の違いから、空気の抵抗の働きが分かります。学習指導要領の解説も挙げている、身近な実験です。

  • シミュレーションで力と運動を試す

    コロラド大学ボルダー校の PhET は、無料で使える理科のシミュレーションです。「力と運動: ベーシック」で、箱を押す力や摩擦の大きさを変え、動き方がどう変わるかを確かめましょう。

    PhET「力と運動: ベーシック」

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よくある質問

物理基礎と中学の理科は、何がいちばん違いますか?

中学では言葉や作図で説明した運動や力を、物理基礎ではグラフと式で表します。速さの増え方を加速度で表し、力を向きと大きさをもつベクトルとして計算するのが、大きな違いです。

物理基礎は、必ず学ぶ科目ですか?

高校の理科は、物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎から 3 科目を学ぶか、「科学と人間生活」を含めて 2 科目を学ぶのが基本です。どの科目を開いているかは学校によって異なるので、自分の学校の教育課程を確かめてください。

記録タイマーの点の区切り方は、東日本と西日本で違うのですか?

記録タイマーは、電源の交流の周波数に合わせて点を打ちます。東日本は 1 秒間に 50 回、西日本は 60 回なので、0.1 秒分を取り出すには、東日本では 5 打点ごと、西日本では 6 打点ごとに区切ります。