図 2 4 年間の流れ()4 年間の流れ 1
1 年: 法の考え方を知る
法学入門と、憲法・民法・刑法の基礎、少人数の基礎ゼミから始まる 1 年です。条文を読み、身近な出来事に当てはめて結論を出す「法の考え方」の基本を身につけます。

ひとことで言うと
スポーツのルールブックを試合の場面で読む
サッカーのオフサイドは、ルールブックの文を読むだけでは分かりにくく、試合の場面に当てはめて初めて腑に落ちます。法学の 1 年も同じです。条文を身近な出来事に当てはめ、どんな結論になるかを考える練習から始まります。

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1 年の専門科目: 憲法・民法・刑法の入口に立つ
1 年の専門科目は、法学入門と、憲法・民法・刑法の基礎が中心です。東洋大学の法律学科では、法学入門・憲法Ⅰ・民法Ⅰ・刑法Ⅰが 1 年に置かれています。岡山大学でも、憲法入門・刑法入門・生活民法などが 1 年の科目です。
関西大学の法学部では、憲法・民法・刑法各論・政治学入門・基礎法学が「基幹科目」です。1 年生全員が学び、法学部で何ができるかを知って、興味のある分野を見つけます。専門の講義はおよそ 150 科目あり、2 年からは関心に合わせて選べます。
法の歴史や考え方を学ぶ科目もあります。東洋大学では、法哲学・法社会学・法制史などを 1 年から受けられます。今の法律がなぜこの形なのかを、歴史や社会の側から考える科目です。
これが分かると、ニュースに出てくる「違憲」「契約」「罪」という言葉を、どの法律の話か整理して聞けるようになります。
1 年の科目は、2 年からの専門科目の土台になります。
図解1 年で学ぶ専門の科目(例)
- 法学入門法とは何か・条文の調べ方
- 憲法(人権)表現の自由・平等など
- 民法総則意思表示・契約の基本のルール
- 刑法犯罪と刑罰の基本
- 基礎法学法の歴史・法哲学・法社会学

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条文を読む: 冗談で「売るよ」と言ったら?
民法総則は、民法全体に共通するルールを定めた部分です。契約のもとになる「意思表示」も、ここで学びます。たとえば、本気ではないのに「このゲーム機、千円で売るよ」と言い、友だちが「買う」と答えたら、その約束はどうなるでしょうか。
民法 93 条は、本心でないと分かっていて言ったことでも、原則として効力は失われないと定めています。ただし、相手が本心でないと知っていた場合や、知ることができた場合は無効です。誰が聞いても冗談だと分かる言い方なら、約束は成り立ちません。
条文は「どんな場合に(要件)」「どうなるか(効果)」の形で書かれ、原則と例外の組み合わせになっていることがよくあります。出来事を要件に 1 つずつ当てはめて結論を出すのが、法の考え方の基本です。
条文は「要件」と「効果」、「原則」と「例外」に分けて読みます。
図解条文を当てはめる(例)
- 193 条: 本心でない意思表示も、原則は有効
- 2ただし書: 相手は本心でないと知っていたか
- 3知ることができたか(言い方や場の状況から)
- 4どちらにも当たらなければ、原則どおり

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基礎ゼミ: 判例の読み方とレポートの書き方
1 年から、少人数で学ぶゼミ形式の授業があります。名前は大学によって違い、東洋大学では法学基礎演習、岡山大学では法政基礎演習、関西大学では導入演習という科目です。
関西大学の法学部は 1 学年がおよそ 700 人ですが、導入演習は少人数のクラスで、1 年生全員が受けます。レポートの書き方や判例の読み方を学び、筋道の通った議論の組み立て方を練習します。その次の段階の基礎演習では、討論やレポートを通じて、問題を整理して妥当な結論を出す力を養います。
裁判で示された判断は「判例」として積み重なり、法の具体的な使い方の手本になります。裁判所のサイトの「裁判例検索」では、最高裁判所などの判決の全文を読めます。初めて読むと長さに驚きますが、誰が何を求めて争ったかを 1 行にまとめると、読み進めやすくなります。
図解判例を読んで発表する(例)
- 1事実をつかむ誰が何を求めて争ったか
- 2争点を探す意見が分かれた点はどこか
- 3判断を読む裁判所の結論とその理由
- 4意見を持つ賛成か反対かと、その根拠
- 5発表する質問を受けて考え直す


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1 年生の 1 週間: 時間割を自分で組む
下の図は、法学部の 1 年生の 1 週間の例です。憲法・民法・刑法の基礎に、英語などの外国語、教養の科目、少人数のゼミが加わります。実際の科目や曜日は大学によって異なります。
高校との大きな違いは、必修の科目を軸に、選べる科目を足して時間割を自分で組むことです。空きコマには、図書館で判例を調べたり、次の授業で扱う条文を読んでおいたりします。
進路を早めに考える人向けの授業もあります。東洋大学では、公務員試験対策講義Ⅰを 1 年から受けられます。関西大学では、法曹や公務員など目標の近い 1・2 年生が一緒に学ぶ「特修プログラム」を設けています。
図解1 年生の 1 週間(例)
- 月民法・英語意思表示と契約の基本を学ぶ
- 火憲法・教養表現の自由の判例を読む
- 水基礎ゼミ判例をまとめて発表の準備
- 木刑法・第二外国語犯罪が成り立つ条件を学ぶ
- 金法学入門・体育条文の調べ方を練習する
- 土・日課題・サークル週明け締め切りのレポートを書く


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つまずきやすい点と乗り越え方
日本学術会議の参照基準は、法学が「大人の学問」と言われる理由を説明しています。一つの「正解」を求めるのではなく、より妥当な解決を目指す学問だからです。高校までの「答えは 1 つ」の勉強に慣れていると、最初は戸惑うかもしれません。
参照基準は、分野が細かく分かれているため、学生が「海図なしに未知の大洋に送り出されたかのような不安感」を持つことも課題に挙げています。今どの分野を学んでいるかを、カリキュラムの図で確かめながら進むと迷いにくくなります。
参照基準は、法学の教育が目指すのは単なる法の知識ではなく、その土台になる考え方だとしています。関西大学の卒業生も、授業の前に判例を自分で調べ、答え合わせをするように講義を聞くうちに、解釈で結論が変わる面白さに気づいたと話しています。暗記より、筋道を説明できるかを意識すると、法学がぐっと面白くなります。
高校生のうちに試せること
民法 93 条を原文で読む
国の「e-Gov 法令検索」では、法律の最新の条文を無料で読めます。民法 93 条を開き、原則と例外がどこで分かれているかに線を引いて、家族や友だちに説明してみましょう。
民法(e-Gov 法令検索)判決を 1 つ読んで 1 行にまとめる
裁判所の「裁判例検索」では、判決の全文を PDF で読めます。気になる判決を 1 つ選び、「誰が何を求めて争い、裁判所はどう判断したか」を 1 行にまとめましょう。
裁判例検索(裁判所)志望校のカリキュラムで時間割を組む
多くの大学は、学年ごとの科目を並べたカリキュラムの図を公開しています。1 年の法学入門や憲法・民法を探して、自分ならどんな 1 週間になるか組んでみましょう。
「1 年: 法の考え方を知る」に関連するコミュニティ
研究室・部活・サークルなど、全国の 51 件から探せます。
よくある質問
高校で法律を学んでいなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。1 年の法学入門や憲法入門は、基礎から始まります。関西大学の卒業生にも、法律も政治も授業で学んだことがないまま入学し、1 年で幅広く学ぶ中で民法に興味を持った人がいます。高校の「公共」で学ぶ契約や司法のしくみが、よい入口になります。
1 年から法律の専門の授業はありますか?
あります。東洋大学では法学入門・憲法Ⅰ・民法Ⅰ・刑法Ⅰ、岡山大学では憲法入門・刑法入門・生活民法が 1 年の科目です。英語や教養の科目と並行して学びます。
法曹や公務員を目指すかどうかは、入学前に決めないといけませんか?
入学してから考えられます。関西大学では、法曹・公務員・ビジネス法・国際関係の特修プログラムを、入学後に 1・2 年生が選びます(学業成績などによる選考があります)。同じ大学の導入演習も、1 年間かけて自分の興味や関心を見極める授業です。
