国立・公立・私立の違いは、学費、入試の仕組み、大学の数と規模の 3 つに大きく出ます。学費は、国立が授業料の標準額で年 535,800 円、私立の学部の平均が年 968,069 円で、差は 1 年あたり 432,269 円です。入試は、国公立が共通テストのあとに前期・後期(公立は中期も)に分けて行い、私立は大学ごとに方式と日程を決めます。この記事は、大学を選ぶ高校 1 年から 3 年の人と保護者に向けて、文部科学省の統計と公式の資料で違いを並べ、大学カタログでの絞り込み方をまとめます(確かめた日 2026 年 10 月 24 日)。

どちらが良いかは、この記事では決めません。学費は学部で大きく変わり、入試は受ける回数や時期の組み立て方で変わります。違いを知ったうえで、志望校の募集要項と学費の案内で確かめてください。

大学の数と学生の数 私立が学生の約 8 割

文部科学省の「学校基本調査」(令和 7 年度確定値・2025 年 5 月 1 日現在、2025 年 12 月 26 日公表)では、大学は全国に 812 校あります。内訳は国立 85 校、公立 103 校、私立 624 校です。学部の学生の数は 2,645,837 人で、私立に 7 割台後半が通っています。

区分大学の数(校)学部の学生数(人)学部学生に占める割合(編集部の計算)
国立85435,62216.5%
公立103149,7585.7%
私立6242,060,45777.9%
計8122,645,837100%

(文部科学省「令和 7 年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値」表 2。大学の数は大学全体、学生数は「うち学部」の在学者数。割合は編集部が学生数から計算し、小数第 2 位を四捨五入)

2026 年 8 月 26 日には令和 8 年度の速報値が出ており、大学は 816 校(国立 85・公立 104・私立 627)、学部学生は 2,664,194 人(国立 437,248・公立 152,274・私立 2,074,672)です。この記事の比較は、確定値の令和 7 年度でそろえました。

短期大学と高等専門学校も設置者が分かれています。令和 7 年度は、短期大学が 292 校(公立 14・私立 278、国立はなし)、高等専門学校が 58 校(国立 51・公立 3・私立 4)です。短大や高専を考えている人は、国立の高専が大半を占めること、短大は私立が大半であることを前提に探すことになります。

設置者別の大学の数・学部の学生の数と、国立・公立・私立の学費の比べを 1 枚にまとめた図

図: 国立・公立・私立の学費と学生数の比べ(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「学校基本調査」令和 7 年度、「国公私立大学の授業料等の推移」ほか)

学費の違い 年間の授業料で約 43 万円の差

学費で見るのは、授業料(毎年)、入学料(入学時に 1 回)、私立の施設設備費です。令和 7 年度に入学した人の額で比べます。

区分授業料(年額)入学料施設設備費
国立(国の標準額)535,800 円282,000 円資料になし
公立(平均)536,520 円地域外 382,806 円・地域内 224,369 円資料になし
私立(学部の平均)968,069 円240,365 円172,550 円

(国立と公立は文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」令和 7 年度入学。国立は国が示す標準額で、公立と私立は平均です。私立は文部科学省「私立大学等の令和 7 年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」の学部の平均で、2025 年 12 月 26 日の資料。この調査は隔年で行われています)

国立大学の標準額は、授業料 535,800 円、入学料 282,000 円です。国は、特別の事情があるときは標準額の 120%(授業料は 642,960 円)まで大学が定められるとしています(国立大学等の授業料その他の費用に関する省令)。標準額より高い授業料にする大学も出ているため、志望校の額は大学のページで確かめてください。国立大学の授業料値上げの記事で、決めた大学と始まる年度をまとめています。

公立大学の入学料は、地域の外から入学する人の平均が 382,806 円、地域内の入学者の平均が 224,369 円で、地域の内と外で額が違います。授業料は平均 536,520 円で、国立の標準額とほぼ同じ水準です。地域内の範囲の決め方は文部科学省の表からは分からないため、志望する公立大学の募集要項で確かめてください。

私立は学部の系統で大きく変わる

私立の平均額は、学部の系統で差があります。文科系、理科系、医歯系の 3 つに分けた文部科学省の表です。

学部の系統授業料入学料施設設備費3 つの合計
文科系850,392 円219,951 円141,892 円1,212,235 円
理科系1,195,313 円245,362 円161,378 円1,602,053 円
医歯系2,825,359 円1,088,248 円865,535 円4,779,143 円
その他990,190 円247,208 円235,657 円1,473,056 円
全体の平均968,069 円240,365 円172,550 円1,380,983 円

(文部科学省「令和 7 年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員 1 人当たり)の調査結果について」資料 1。入学定員で加重した平均で、昼間部。端数処理のため合計が合わない場合があります)

同じ調査で、授業料・入学料・施設設備費に実験実習料などを加えた初年度の総計の平均は、私立大学(学部)で 1,507,647 円と公表されています。上の「3 つの合計」より大きいのは、実験実習料やその他の納付金が入っているためです。

4 年間ではどれくらい違うか(編集部の計算)

授業料を 4 年分、入学料を 1 回分とした合計を、上の額から計算しました。額が毎年同じだと仮定した目安で、私立の施設設備費や実験実習料などは含めていません。実際の額は大学・学部ごとの案内で確かめてください。

区分授業料 4 年分 + 入学料(編集部の計算)
国立(標準額)2,425,200 円
公立(平均・地域外の入学料)2,528,886 円
公立(平均・地域内の入学料)2,370,449 円
私立 文科系(平均)3,621,519 円
私立 理科系(平均)5,026,614 円
私立 医歯系(平均)12,389,684 円
私立 全体の平均4,112,641 円

私立の全体の平均と国立の標準額の差は、この計算で 1,687,441 円です。ただし私立は、文科系の平均なら国立との差が約 120 万円、医歯系では約 1,000 万円と、系統による開きのほうが大きくなります。

修学支援新制度の上限額も、国公立と私立で違う

低所得の世帯や、扶養する子どもが 3 人以上の世帯には、国の「高等教育の修学支援新制度」で授業料と入学金が減額されます。減額の上限(満額)は大学で次の額です(文部科学省「令和 7 年度からの多子世帯への授業料等無償化に係る FAQ」2026 年 9 月更新版、問 4-1)。

区分授業料(年額)入学金
国公立の大学54 万円28 万円
私立の大学70 万円26 万円

国公立は授業料の額が上限に近いので、上限まで減額されれば授業料の大半がまかなわれます。私立は、平均の授業料(968,069 円)が上限の 70 万円を上回るため、上限まで減額されても差額や施設設備費などは各家庭の負担になります。世帯の所得によっては 3 分の 2 や 3 分の 1 の区分になります。条件と申し込みは多子世帯の無償化の記事で、私立大学の入学料の扱いの見直しは2027 年度入試の変更点の記事で確かめられます。

入試の仕組みの違い

国公立と私立では、入試の組み立て方が違います。一般選抜(いわゆる一般入試)から見ていきます。

項目国公立私立
共通テストの使い方共通テスト(2027 年 1 月 16・17 日)のあとに各大学へ出願し、個別試験を受ける日程(実施要領は国立大学協会・公立大学協会が定める)大学が方式を決める。共通テストの成績を使う方式を設ける大学もある(実施要項で各大学が利用できるとされている)
日程のしくみ前期日程・後期日程に分ける「分離・分割方式」。公立は中期日程もある試験期日は大学が定める(実施要項では、個別テストの期日は 2027 年 2 月 1 日から 3 月 25 日の間)
2027 年度の主な日程共通テスト 1 月 16・17 日、出願 1 月 25 日〜2 月 3 日、前期の試験 2 月 25 日から、後期は 3 月 12 日以降、公立の中期は 3 月 8 日以降大学ごとの募集要項で確かめる
合格後の手続前期で合格して入学手続をすると、後期・中期は受けても合格者にならない大学ごとに手続の期限が決まっている

(文部科学省「令和 9 年度国公立大学入学者選抜の概要」2026 年 10 月の資料と「令和 9 年度大学入学者選抜実施要項」2026 年 5 月 27 日通知)

一般選抜を分離・分割方式で行う国公立大学は、令和 9 年度(2027 年度入試)で 176 大学、前期日程は 173 大学、後期日程は 131 大学、公立の中期日程は 28 大学です(2026 年 7 月末現在の集計)。日程の細かい決まりは国公立大学の 2027 年度一般選抜の記事にまとめました。私立の入学手続の期限と入学金の扱いは滑り止めの入学金の記事が参考になります。

入学者の選抜区分の割合も違う

文部科学省の「令和 7 年度国公私立大学入学者選抜実施状況」(2025 年 11 月 26 日)では、2025 年度入学者の選抜区分を、設置者別に一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜の 3 つに分けて公表しています。一般選抜の割合は、公表された入学者数から編集部が計算しました。

区分一般選抜総合型選抜学校推薦型選抜
国立79.6%(79,542 人)7.7%(7,714 人)12.7%(12,706 人)
公立67.1%(24,321 人)6.0%(2,183 人)26.9%(9,732 人)
私立38.3%(196,386 人)22.8%(116,869 人)38.8%(198,977 人)
計46.3%(300,249 人)19.5%(126,766 人)34.1%(221,415 人)

(総合型選抜・学校推薦型選抜の割合は文部科学省の公表値。一般選抜の割合は一般選抜の入学者数を入学者総数で割った編集部の計算。外国人留学生を対象とする選抜を含み、令和 6 年度入学者の数値とは比べられないと文部科学省が注記しています)

国立は入学者の約 8 割が一般選抜、私立は一般選抜が 4 割弱で、総合型選抜と学校推薦型選抜を合わせると 6 割を超えます。国公立にも推薦や総合型はあり、共通テストを課すかどうかは大学・学部で違います。詳しくは国公立の学校推薦型選抜の記事で確かめられます。

志願者の数え方にも違いがあります。文部科学省の調査では、令和 7 年度の入学志願者数は延べ人数で数えられ、志願倍率(志願者数を募集人員で割った値)は国立 3.9 倍、公立 4.8 倍、私立 8.1 倍でした。1 人が複数の学部や方式に出願すると、その数だけ数えられるため、倍率の高さだけで入りにくさは比べられません。

国立・公立・私立の入試の仕組みと入学者の選抜区分の割合を比べた図

図: 国公立と私立の入試の仕組みと選抜区分の割合(作成: 大学カタログ編集部 / もとの資料: 文部科学省「国公私立大学入学者選抜実施状況」令和 7 年度、「令和 9 年度国公立大学入学者選抜の概要」)

学部の選択肢と公立大学

学部の分野が設置者でどう分かれるかを示す統計は、今回の確認では見つけられませんでした。そのため、「この分野は国立に多い」といった言い方はしません。確かめられた数字は、入学者選抜を実施した大学と学部の数です。令和 7 年度の入学者選抜で、国立は 81 大学 424 学部、公立は 98 大学 222 学部、私立は 599 大学 2,015 学部でした(文部科学省「令和 7 年度国公私立大学入学者選抜実施状況」)。1 大学あたりの学部数は、編集部の計算で国立 5.2、公立 2.3、私立 3.4 です。数え方の違い(大学院大学など選抜を実施しない大学を除く)があるため、目安として見てください。

学びたい分野があるときは、設置者で絞る前に、その学部のある大学を探すほうが確実です。

公立大学は、学費の面では授業料の平均が国立の標準額とほぼ同じで、入学料に地域の内と外で違う額が設けられていることが特徴です(上の表)。公立大学の数は 103 校(令和 7 年度)で、1 大学あたりの学部数は国立や私立より少ない計算です。

大学カタログで国立・公立・私立を絞って探す

大学カタログの大学の一覧は、設置者(国立・公立・私立)、都道府県、種別(大学・短大)で絞れます。2026 年 10 月 24 日に確かめた件数は次のとおりです。

絞り込み件数開く URL
大学・短大すべて1,117 校/universities
国立85 校/universities?founder=national
公立118 校/universities?founder=public
私立914 校/universities?founder=private

初期の表示は大学と短期大学を合わせた件数で、高等専門学校は含まれていません。種別で「大学」だけにすると、国立 85 校、公立 104 校、私立 636 校の計 825 校、「短期大学」だけにすると 292 校(公立 14・私立 278)です。文部科学省の学校基本調査の校数とは、数える基準が違うため、少しずれます。

探すときの流れは次のとおりです。

  1. 行ける範囲の都道府県と、設置者の 3 つの絞り込みを組み合わせて、候補を出す。
  2. 気になる大学のページで、学部と、サークル・研究室の数を見る。
  3. 志望校の募集要項と学費の案内で、授業料・入学料・施設設備費を確かめる。
  4. 国公立を受けるなら、共通テストと個別試験の日程を一般選抜の記事で確かめ、併願の組み立てを考える。

たとえば、東京大学(国立)、東京都立大学(公立)、早稲田大学(私立)のページを開いて学部と活動する団体を並べてみると、違いがつかめます。

よくある迷い

学費の安さだけで国公立に絞ってよいですか

学費の差は、国立の標準額と私立の平均で授業料が年 43 万円ほどあります。一方で、国公立の入試は日程が前期・後期などに分かれ、手続の順番にも決まりがあります。学費は、修学支援新制度などの減額で変わることもあります。学費だけで決めず、学びたい分野、通える範囲、入試の日程と合わせて考えてください。

私立の学費は、志望校でも平均と同じですか

同じとは限りません。平均は、定員で加重した全国の値です。理科系や医歯系は平均が高く、同じ系統でも大学で額が違います。志望校の募集要項か学費のページで、入学時の納付金の合計を確かめてください。

国公立と私立は、どちらも受けられますか

受けられます。国公立の一般選抜は、2027 年度は 2 月 25 日から前期日程が始まり、私立の試験日は大学ごとに決まります。国公立の前期に合格して入学手続をすると後期・中期は受けても合格者にならないので、私立の入学金の期限が先に来る場合の判断が必要です。期限と入学金の扱いは滑り止めの入学金の記事で確かめてください。